日本のおいしい「オイル漬け缶詰」いろいろ 〜イワシとサバ編〜
2018年2月15日|渡邊晃子
様々な料理に合う。栄養素満タン。調理してさらにおいしいイワシとサバのオイル漬け。
パンにはさんでも、グリルで焼いても、そのままでもおいしい魚介類のオイル漬け缶詰。日本の各地域には、国産にこだわって作られている缶詰がたくさんあります。
イワシを使ったオイルサーディンに代表される魚介類のオイル漬け缶詰。新鮮なイワシやサバ、タコ、カキなどを濃い塩水に漬けた後、オイルで煮込んだ保存食です。世界中で古くから作られており、日本で初めて作られた缶詰もオイルサーディンだったと言われています。
オイル漬け缶詰は、保存期間が長く、料理のアレンジの幅も広いため、近年とても人気がある食品。そこで今回は、国産にこだわって作られた缶詰の中で、普段使いしやすいイワシとサバをピックアップしました。魚介類の宝庫である日本ならではの、おいしい缶詰がいっぱいです。
「天の橋立 オイルサーディン」(京都・竹中缶詰)
ハタハタやホタルイカなど、珍しいオイル漬け缶詰もある「天の橋立 油漬け」シリーズのひとつ。日本三景・天橋立の内海に生息する金樽(きんたる)真イワシを、綿実油で漬けこんでいます。
開けてみると、約6センチほどのイワシが14尾とローリエの小片が、整然と並べられています。すべて手作業で加工されているため、一つひとつがとてもきれい。傷つきやすいイワシが、ほぼ無傷の状態に感服です。
美しい見た目だけでなく、味もさっぱりとした上品な印象。オリーブオイルではなく、綿実油を使っているため、油のしつこさを感じません。身はしっとりと柔らかく、そのまま味わいたいオイルサーディンです。
さて、真イワシを使った「天の橋立 オイルサーディン」ですが、片口イワシを使った青色の缶詰もあります。昔ながらのパッケージデザインがレトロでかわいいですね。
真イワシと片口イワシを比べてみると、片口イワシの方が身がしまっていて魚らしいと感じました。どちらもとてもおいしいですが、個人的な好みは片口イワシ、誰でも食べやすいのが真イワシといった印象です。
「銚子港 オイルサーディン」(千葉・千葉産直サービス)
イワシ類の水揚げ日本一を誇る銚子で獲れた真イワシを使ったオイルサーディン。そのほかの原材料も、一番しぼり菜種油、塩田の天日塩、国産有機無農薬のローリエだけという、一つひとつの素材にこだわった缶詰です。
よく見るオイルサーディンは、小さいイワシがズラリと並んでいる印象ですが、こちらはインパクト大。中には、丸々と太ったイワシが、どんと3尾、缶詰いっぱいに詰まっています。
脂がのった身は、肉感があり、食べ応えも十分。ちびちびと味わうのではなく、ガッツリと食べたい時にピッタリです。素材を活かしたクセのないシンプルな味なので、オーブン焼きや炒め物など、何にでも応用できそう。
「レモ缶ひろしま 小鰯のアヒージョ」(広島・ヤマトフーズ)
パッケージとサイズ感がかわいいこちらは、小さいイワシをエクストラバージンオリーブオイルで漬けこんだアヒージョ。瀬戸内海産の広島レモンと藻塩を合わせて熟成させた同社の調味料「熟成藻塩レモン」の風味です。
中には、塩レモンやにんにく、唐辛子などの調味料にまみれた小さいイワシがいっぱい。ちなみに、塩レモンはモロッコの伝統的な調味料で、主に肉や魚の臭み消しに使われているそうですよ。
その味は、レモンのさっぱりとした風味に加えて、にんにくと唐辛子のピリッとした辛みがあります。しっかりとした味つけで歯ごたえのある食感なので、アンチョビのような使い方が良さそう。ビールを飲みたくなるおつまみ味でした。
「Ca va?(サヴァ)缶」(岩手・岩手県産)
東日本大震災の復興支援のために開発された国産サバのオリーブオイル漬けです。「Ca va?」とは、フランス語で「元気?」という意味。パッと目を引くおしゃれなパッケージデザインと遊び心のあるネーミングで、大人気となっている缶詰です。
開けてみると、きれいに輪切りにされた肉厚のサバが4切れ入っています。「Ca va?缶」には、オリーブオイル漬けのほかにも、緑の缶詰「レモンバジル味」、赤の缶詰「パプリカチリソース味」といった味付きもあります。
脂がのったサバの身は、しっとりとやわらかく、ホロホロとした食感。クセがないので、炊き込みご飯などの和風にも、グラタンなどの洋風にもアレンジできます。筆者は、トルコのサバサンドのように、パンに挟んで食べるのがお気に入りです。
「国産寒さば きとうゆずしおオリーブオイルづけ」(徳島・黄金の村)
晩秋から冬にかけて獲れる国産の寒サバを、エクストラバージンオリーブオイルで漬けこんだ缶詰。風味付けに、香りが高く酸味の強い木頭ゆずを使用しています。サバやゆずなどがあしらわれたパッケージのカラーリングもかわいい。
中には、大きなサバの切り身が2切れ。皮目が下だったので、分かりやすいように缶の中でひっくり返しました。塩のほかに、砂糖なども入っているので、オイル漬けというよりおかず缶に近い印象です。
身はしっかりと歯ごたえがあり、木頭ゆずの風味が効いています。ほかのオイル漬けに比べると、味が濃いめの和風味です。そのままおつまみとしてはもちろん、パスタやポテトサラダにも合いそう。
イワシとサバのオイル漬けは、アレンジも栄養も豊富
普段の食卓はもちろん、どんなシーンでも大活躍するオイル漬け缶詰。筆者は、缶の中に塩、にんにく、パン粉、ハーブを入れたグリル焼きが大好きです。野外のバーベキューでも、缶ごとグツグツやると、気の効いたおつまみになりますよ。
また、骨までやわらかいので、イワシやサバを丸ごと食べられるのも魅力のひとつ。カルシウムやDHA、EPAなどの栄養素も丸ごとパクっといただけます。アレンジも栄養も豊富で、子どもも大人も食べやすいオイル漬け缶詰は、台所に常備したい万能アイテムになりそうです。
この記事を書いた人
渡邊晃子 Akiko Watanabe |ライター
フリーのライター、インタビュアー、フォトグラファーとして活動。 主に芸能記事を手掛ける。現在は、自然豊かな熊本で子育て中。 国内外の古くて変わったモノが好き。
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