ぽっぺん、ぽっぺん、ぽっぺん!〜美しい長崎ビードロのおもちゃ〜
2017年10月25日|渡邊晃子
そっと息を吹き込むと軽やかな音が鳴る長崎ビードロのおもちゃ「ぽっぺん」。つい夢中になって吹いてしまう美しい「ぽっぺん」は、おもちゃとしてだけでなくインテリアにもピッタリです。
鎖国時代から外国の玄関口として発展してきた長崎は、ガラス細工のビードロが有名な地域でもあります。ビードロとは、ポルトガル語でガラス製品を意味する古称。北川歌麿が浮世絵「ビードロを吹く女」に描いたように、ビードロのおもちゃ「ぽっぺん」も古くから楽しまれてきました。
フラスコ状の「ぽっぺん」は、ガラスの弾力性を利用して音を鳴らす珍しいおもちゃ。その名の通り、ガラス管から息を入れると「ポッ」とガラス底がへこみ、口をはなすと元に戻って「ペン」という音がします。
色鮮やかでさまざまな形があり、一つひとつ違った音色を楽しむことができます。
■しゃぼん玉のような透明感が美しい
こちらは、球形の内部にラッパのような細工がほどこされた「ぽっぺん」です。透明なガラス球の中のラッパが、色とりどりでとてもかわいらしい。光に当てると、しゃぼん玉のような輝きを放ちます。
集めた「ぽっぺん」の中では一番大きいサイズ。息を吹き込んでみると、やや低めに「ポッ、ペン!」という音がします。しゃぼん玉のような見た目と同様に、丸みを帯びた優しい音色です。
ちなみに、「ぽっぺん」の正しい吹き方は、ガラス管をくわえてそっと優しく息を吹き込みます。口の中に息をためてから軽く吹き込むのがコツ。強く吹きすぎたり、息を吸い込むと割れてしまうので注意しましょう。
■ステンドグラスのような珍しい六角形
「ぽっぺん」の多くは球形ですが、こちらは珍しい六角形の形をしています。何より、ステンドの色彩が美しい。色は赤、黄、青しか使われていませんが、色と色が重なってオレンジ、緑、紫も見ることができます。
息を吹いてみると「ポッ、ピン!」という少し硬い音がします。六角形だからか、球形のものに比べると角ばったハッキリとした音色です。
音色を堪能したあと、陽にかざしてみたら本当にきれいな影ができました。部屋の窓際に飾って、色の移り変わりを楽しみたい「ぽっぺん」です。
■吹きやすくかわいらしいミニサイズ
なんともかわいらしいミニサイズの「ぽっぺん」は、一番大きい「ぽっぺん」の半分ほどの大きさ。長崎の教会の窓にほどこされたステンドグラスを思わせる美しいデザインです。
そっと吹いてみると、ミニサイズらしい「ピッ、ペッ!」という高めの小さな音。息を吹き込む量が少ないので、初心者にも吹きやすく、連続で「ピぺッ!ピぺッ!ピぺッ!」と吹くことができます。
この一番小さい「ぽっぺん」を洗面台に置いてみました。鏡に映ったステンドがとてもきれい。飾っても美しい「ぽっぺん」ですが、薄いガラスでできているので、くれぐれも取扱いにはご注意を。
外国と日本の文化や技術が融合したような、長崎らしいビードロのおもちゃ「ぽっぺん」。昔は、お正月に一年の厄落としの意味を込めて吹いたそう。音を鳴らしても、飾っても楽しい不思議なガラス細工でした。
この記事を書いた人
渡邊晃子 Akiko Watanabe |ライター
フリーのライター、インタビュアー、フォトグラファーとして活動。 主に芸能記事を手掛ける。現在は、自然豊かな熊本で子育て中。 国内外の古くて変わったモノが好き。
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