あるがまま、を身につける。日本の植物アクセサリー
2017年6月14日|てらしまちはる
花や木の実など、自然物の造形には目をみはるうつくしさがあります。それを加工し、アクセサリーに仕立てる女性アーティストを取材しました。
耳元をいろどる、青い花のイヤーカフ。身につける人の透きとおる肌とあいまって、はかなくも力強い存在感を感じさせます。
ほんものの紫陽花とラスカスの葉でつくった、ituka(イツカ)のアクセサリーです。光にかざせば、葉脈があみの目のように走るのさえ見てとれる繊細さ。
千日紅のピアスは、あざやかな紅色をしています。片方だけに残る葉っぱが、野にあった時の意志を感じさせるようです。
紫陽花×ラスカス ブーケイヤーカフ
千日紅ピアス
itukaは、名古屋市を拠点に活動するアーティストです。彼女の生み出す作品は、どれもほんものの植物を加工してつくっています。
作家・ituka
ituka 「あるとき、ふと『葉脈の見えるアクセサリーを作りたい』と思ったんです。2010年ごろだったでしょうか。独学ではじめて、試行錯誤しながら完成したのが紫陽花のアクセサリーでした」
ひとつめの作品から工夫を重ね、たどりついたのが、特殊な樹脂での加工だったと彼女はいいます。葉脈が細部まで透けて見とおせるけれど、手になじむやわらかさも兼ね備え、しかも簡単にこわれない紫陽花。彼女自身も「何度作ってもうつくしさに心を奪われる」と話します。
紫陽花ピアス
活動開始から7年目の現在、紫陽花シリーズはitukaの定番となりました。また、日本の植物をかわきりにラインナップは日々増えています。
ituka 「展示会のときなんかは、庭で育てた花や、旅先で出会った木の実をつかうこともありますよ。ちいさなころから海へ行けば貝殻をひろい、山へ行けば木の実や草花をあつめていました。まるで宝探しのようで、夢中なんですよね(笑)。いまの制作も、子どものときの遊びの延長線上にある気がします」
植物それぞれのもつ形の魅力を、できるだけ引き立てられるようめざしている彼女。ものづくりの根底には「人間も自然の一部」という、確固たる思いがありました。
ituka 「もともと環境問題に興味があり、調べるなかで特に目にとまったのが『自然観』でした。『自然』って、『しぜん』とも『じねん』とも読みますよね。もともと日本にあったのは『じねん』の考え、つまり人間も自然の一部であるというものだそうです」
「じねん」とは仏教用語で、人間の作為が入らないそのままのありようを示す言葉です。あるがまま、ともいい換えられます。
ツゲピアス
一方で、「しぜん」は明治期に「nature」の日本語訳として発明された言葉。natureがさすのは、人間と対立する存在です。したがって「しぜん」と「じねん」は、概念として真逆といえます。
ituka 「この『じねん』という発想が、なにか大きなヒントのように感じます。環境問題を解決するカギとしてもそうですし、生きるうえでのあらゆることに大切な気がして。そう考える自分に気づいたとき、社会に発信したくなったんです。でも私、昔から言葉で表現するのが苦手なタイプで『じゃあ、好きなものづくりで伝えてみよう』と」
ちょうど制作スタート期だった植物アクセサリーに、「人間も自然の一部」というコンセプトを据えて、本格的にのりだしたのでした。一見、華奢(きゃしゃ)なitukaの作品群ですが、同時に芯の強さやたおやかさも薫るのには、そんな背景もあったのですね。
私たちが日々まとうアクセサリー。あるがままをよしとする凛とした一品を、小物箱に加えてみたくなります。
< 展示会情報 > belleasie×ituka「なつのふたり展」
2017年6月23日〜27日
場所:re:Li リリ(名古屋市中区栄1-25-5仲ノ町公園南ビル1f.2f)
詳細は下記をご確認ください。
ituka公式HP
Instagram
紫陽花ネックレスと三角ピアス
ほんものの紫陽花とラスカスの葉でつくった、ituka(イツカ)のアクセサリーです。光にかざせば、葉脈があみの目のように走るのさえ見てとれる繊細さ。
千日紅のピアスは、あざやかな紅色をしています。片方だけに残る葉っぱが、野にあった時の意志を感じさせるようです。
紫陽花×ラスカス ブーケイヤーカフ
千日紅ピアス
紫陽花からはじまった制作
itukaは、名古屋市を拠点に活動するアーティストです。彼女の生み出す作品は、どれもほんものの植物を加工してつくっています。
作家・ituka
ituka 「あるとき、ふと『葉脈の見えるアクセサリーを作りたい』と思ったんです。2010年ごろだったでしょうか。独学ではじめて、試行錯誤しながら完成したのが紫陽花のアクセサリーでした」
ひとつめの作品から工夫を重ね、たどりついたのが、特殊な樹脂での加工だったと彼女はいいます。葉脈が細部まで透けて見とおせるけれど、手になじむやわらかさも兼ね備え、しかも簡単にこわれない紫陽花。彼女自身も「何度作ってもうつくしさに心を奪われる」と話します。
紫陽花ピアス
活動開始から7年目の現在、紫陽花シリーズはitukaの定番となりました。また、日本の植物をかわきりにラインナップは日々増えています。
ituka 「展示会のときなんかは、庭で育てた花や、旅先で出会った木の実をつかうこともありますよ。ちいさなころから海へ行けば貝殻をひろい、山へ行けば木の実や草花をあつめていました。まるで宝探しのようで、夢中なんですよね(笑)。いまの制作も、子どものときの遊びの延長線上にある気がします」
基本にする「じねん」の考え
植物それぞれのもつ形の魅力を、できるだけ引き立てられるようめざしている彼女。ものづくりの根底には「人間も自然の一部」という、確固たる思いがありました。
ituka 「もともと環境問題に興味があり、調べるなかで特に目にとまったのが『自然観』でした。『自然』って、『しぜん』とも『じねん』とも読みますよね。もともと日本にあったのは『じねん』の考え、つまり人間も自然の一部であるというものだそうです」
「じねん」とは仏教用語で、人間の作為が入らないそのままのありようを示す言葉です。あるがまま、ともいい換えられます。
ツゲピアス
一方で、「しぜん」は明治期に「nature」の日本語訳として発明された言葉。natureがさすのは、人間と対立する存在です。したがって「しぜん」と「じねん」は、概念として真逆といえます。
ituka 「この『じねん』という発想が、なにか大きなヒントのように感じます。環境問題を解決するカギとしてもそうですし、生きるうえでのあらゆることに大切な気がして。そう考える自分に気づいたとき、社会に発信したくなったんです。でも私、昔から言葉で表現するのが苦手なタイプで『じゃあ、好きなものづくりで伝えてみよう』と」
ちょうど制作スタート期だった植物アクセサリーに、「人間も自然の一部」というコンセプトを据えて、本格的にのりだしたのでした。一見、華奢(きゃしゃ)なitukaの作品群ですが、同時に芯の強さやたおやかさも薫るのには、そんな背景もあったのですね。
私たちが日々まとうアクセサリー。あるがままをよしとする凛とした一品を、小物箱に加えてみたくなります。
< 展示会情報 > belleasie×ituka「なつのふたり展」
2017年6月23日〜27日
場所:re:Li リリ(名古屋市中区栄1-25-5仲ノ町公園南ビル1f.2f)
詳細は下記をご確認ください。
ituka公式HP
紫陽花ネックレスと三角ピアス
この記事を書いた人
てらしまちはる Chiharu Terashima |ライター
児童書編集を経て、フリーライター。専門分野である絵本、こどもアプリの話題を中心に、ウェブ媒体や雑誌で執筆中。2016年より始めたイタリア・ボローニャブックフェア独自取材を今年『ボローニャてくてく通信』として発表する。
ボローニャてくてく通信
・Facebook:https://www.facebook.com/bolognatektek/
(2018/3/1公開)
・公式HP:http://terashimachiharu.com/
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