「たかがスリッパ、されど。」お気に入りを選んで、毎日を楽しく
2017年5月24日|渡邊晃子
私たちの何気ない生活の中には、常にスリッパがあります。今回は、「たかがスリッパ、されどスリッパ」の世界をご紹介します。
お家で、仕事場で、外出先で…。室内で靴を脱ぐ習慣がある日本で、スリッパは欠かせない存在です。実は、スリッパの発祥地は日本!明治時代初期、開国によって渡来してきた外国人たちが、土足で室内に入るのを見かねて考案されたと言われています。
そんな歴史あるスリッパですが、こだわりなくつい適当に選んでしまいがち。「これは!」というスリッパに、なかなか出会えないのも現実です。そこで、今回は、自分の定番として長く愛用したくなる“シブカワ”スリッパを3つご紹介します。
懐かしいビニールスリッパがかわいい「PANTOUFLE」
はじめは、「CLOAKROOMS OF .Fulller」のビニールスリッパ「PANTOUFLE(パントゥフル)」。「PANTOUFLE」とは、フランス語でスリッパのこと。そのデザインから海外製かと思いきや、昔ながらの製法で一つひとつ手作業で作られた日本製です。
よくよく見ると、とっても懐かしい形!旅館や学校、病院などで、誰もが一度は履いたことがあるビニールスリッパに、ファッションブランドの「.Fuller(フラー)」が、新たにプリントを加えてリデザインしています。甲部分に描かれたフクロウが何ともかわいらしいスリッパです。
日本の工業製品ならではのしっかりとした作りで、我が家でも愛用中。ストライプのパイピング部分が良いアクセントになっています。「PANTOUFLE」シリーズは、フクロウ柄のほかにも、ライオン柄、スニーカー柄など色柄豊富。引っ越し祝いなどのプレゼントにも喜ばれそうです。
「阿波しじら織」をさりげなく毎日の足元に
お次は、「阿波しじら織」の「チェックバブーシュルームシューズ」。「阿波しじら織」とは、縮みを計算して織った綿布に熱湯をくぐらせて乾燥させることで、独特のシボを生み出す徳島県の伝統工芸品。表面に凹凸がある布は、通気性が良くサラリとした肌触りが特徴です。
また、「阿波しじら織」のもう一つの特徴は、藍染めにこだわっていること。こちらのバブーシュも、藍と和のカラーで職人が染め上げた生地を使っています。チェック部分をよく見ると、凹凸のある細やかな織りと美しいカラーリングがとても素敵です。
ぱっと見は、よくあるかわいらしいバブーシュなのに、実は日本の伝統工芸品というところが心憎いスリッパ。「阿波しじら織」特有の通気性に加え、中敷きに黄麻が使われているので、蒸れにくく涼しく過ごせます。これからの暑い季節にピッタリのスリッパです。
一つひとつ丁寧に編まれた「きみがらスリッパ」
最後は、青森県十和田市の伝統工芸品「きみがらスリッパ」です。“きみがら”とは、青森の方言でトウモロコシの皮のこと。国内有数の馬の産地だった同地では、昭和22年から飼料用トウモロコシの皮を使ったスリッパ作りが行われてきました。
農家の女性たちが、ワラジを編む要領で力強く作る「きみがらスリッパ」はとっても丈夫。アーチ状の甲部分を編むのにとても手間がかかるそうで、熟練者でも一日に作れる数は2足ほどだそう。編む人の裁量による色と柄の違いも面白いスリッパです。
こちらは、オレンジとグリーンの差し色でチェック柄のように編まれた「きみがらスリッパ」。素足にはいてみて分かる気持ち良さは、やみつきになりそう!通気性が抜群なので、特に梅雨時期や夏場におすすめのスリッパです。
「たかがスリッパ、されどスリッパ」。毎日はくものだから、作り手のこだわりが詰まった一足を選びたいもの。お気に入りのスリッパに新調すれば、毎日を楽しく過ごせそうです。
この記事を書いた人
渡邊晃子 Akiko Watanabe |ライター
フリーのライター、インタビュアー、フォトグラファーとして活動。 主に芸能記事を手掛ける。現在は、自然豊かな熊本で子育て中。 国内外の古くて変わったモノが好き。
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