おうちで心ほころぶひとときを 〜印香で感じる香りの世界〜
2017年2月8日|渡邊晃子
千菓子のようなお香“印香(いんこう)”を知っていますか?今回は、その可愛らしい魅力と日常生活での使い方をご紹介します。
日本には、昔からさまざまなお香があり、人々の生活の中で親しまれてきました。仏事などの信仰に用いる線香や焼香をはじめ、現代的な香りも多いスティック型やコーン型など…。夏の風物詩、渦巻き型の蚊取り線香もお香の一種ですね。
お香と言えば、直接火をつけるのが一般的。ですが、火をつけずに香りを楽しむ“印香(いんこう)”というものがあります。“印香”とは、粉末にした香料を練り合わせ、型に押し固めたお香のこと。見た目がとっても可愛いので、お部屋のインテリアとして取り入れたいアイテムです。
「印香 5個入り」(薫玉堂、京都府京都市)
最初にご紹介するのは、桃山時代から400余年も続く老舗香木店「薫玉堂」の「印香 5個入り」。桐箱にきれいに並べられた印香は、「薫玉堂」のロゴマークである香炉を型取ったもの。見た目に高級感があり、贈り物にもピッタリです。
色と香りは、京都の名所や名物をイメージした線香「京の香り」シリーズと同じもので、堺町101・北野の紅梅・祇園の舞妓・宇治の抹茶・音羽の滝の5種類。また、桐箱入りの印香は、伽羅と白檀を加えた8個入りもあります。
日本らしい色合いが素敵なので、まずは並べて飾ってみて。また、手紙を書く時に、便せんの上に乗せれば、ほのかに香りが移ります。香りが薄らいできたら、小皿などに乗せ、印香の端に直接火をつけて使いましょう。
「印香 桜」(Juttoku.(ジュットク)、東京都新宿区)
お次は、2012年に立ち上げたばかりのお香ブランド「Juttoku.(ジュットク)」の「印香 桜」。形は桜のほかに、松竹梅、撫子、菊、蓮、ハートなどがあり、職人技の光る細工がとっても美しい印香です。
お香の原料となる香木は、6世紀末に兵庫県淡路島に初めて漂着したと「日本書紀」の中で伝えられています。「Juttoku.」のお香は、そんな淡路島で伝統的な技法を用い、一つひとつ丁寧に手作りされています。
ほかの印香に比べ、大ぶりなのも特徴。玄関や寝室に置けば、一つでも十分な存在感を発揮してくれます。印香が持つ白檀の香りを楽しんだあとは、好きなエッセンシャルオイルを垂らしてディフューザーとして、またはサシェとして楽しんでも。
「花京香 12ヶ月印香揃え」(山田松香木店、京都府京都市)
最後は、江戸時代から続く老舗香木店「山田松香木店」の印香「花京香 12ヶ月印香揃え」。1月から12月までの季節の草花をイメージした印香は、2月の梅、3月の桜など各月ごとに香りが異なるのが特徴です。
印香の香りが続くのは一ヶ月ほどなので、一月に一つ小皿に乗せて香りを楽しんでみて。また、専用の香立てが付いているので、火をつけて焚いても良いでしょう。小さく可愛らしい形なので、手紙に同封したり、手帳に挟んで使うこともできますよ。
“印香”の正式な使い方は、熱い灰の上に乗せて間接的に熱を加え、その香りを楽しむそう。ですが、今回ご紹介した“印香”は、どれも気軽に香りを楽しめるものばかり。日本の良い香りを生活に取り入れて、心を落ち着かせるひとときを過ごしてみてくださいね。
この記事を書いた人
渡邊晃子 Akiko Watanabe |ライター
フリーのライター、インタビュアー、フォトグラファーとして活動。 主に芸能記事を手掛ける。現在は、自然豊かな熊本で子育て中。 国内外の古くて変わったモノが好き。
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