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知ってる?日本の“やきもの”の違い〜九谷、瀬戸、備前、有田、唐津など15選〜

2016年6月15日|渡邊晃子

日々の生活で欠かせない食器や酒器などの“やきもの”。日本の各地には、それぞれの風土を活かした“やきもの”産地が数多くあります。名前や由来を知っていれば、器選びも楽しくなりますよね。そこで今回は、伝統的な“やきもの”の中から、15種類をご紹介します。

<関東>

◆笠間焼(かさまやき)

笠間焼 笠間市(METI/経済産業省)
分類:陶器
産地:茨城県笠間市
歴史:江戸時代中期〜
江戸に近い土地柄、大量生産の日用雑器が多く作られた。原料の粘土は粘りが強いため、焼き上がりがとても丈夫。“特徴がないことが特徴”と言われる通り、様々な色味を用いた普段使いの器が生産されている。

◆益子焼(ましこやき)

益子焼 観光Fan!
分類:陶器
産地:栃木県芳賀郡益子町
歴史:江戸時代末期〜
砂を含む粗い陶土のため、火鉢や土鍋、壺や花器などの民芸品が多く作られた。主に漆黒や赤茶色の釉薬を使用。厚手でぼってりとした手触りを特徴とする。

<北陸>

◆越前焼(えちぜんやき)

“越前焼" コトバンク
分類:せっ器
産地:福井県丹生郡越前町
歴史:平安時代〜
「日本六古窯」の一つで、壺や甕などが作られた。薪の灰が溶けてできる自然釉が特徴。鉄分が多い粘土を使用するため、赤黒色や赤褐色の焼き上がりとなる。

◆九谷焼(くたにやき)

“九谷焼” NORTHWEST SELECT
分類:磁器
産地:石川県金沢市、小松市、加賀市、能美市
歴史:江戸時代初期〜
九谷五彩と呼ばれる緑・黄・紫・赤・紺青の五色による絵付が特徴。山水や草花、動物などの伝統的モチーフが、白い磁器に色鮮やかに描かれている。“ジャパンクタニ”として輸出され、海外でも人気。

<東海>

◆美濃焼(みのやき)

“美濃焼” 道の駅志野・織部公式サイト
分類:陶器、磁器
産地:岐阜県土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市
歴史:奈良時代〜
日本の陶磁器生産量のシェア約半分を占める。素地や釉薬、製法は様々で、和食器や洋食器、タイルなど多彩な製品が生産されている。伝統的なものとしては、志野、織部、瀬戸黒、黄瀬戸などがある。

◆瀬戸焼(せとやき)

“瀬戸焼” MUJIキャラバン
分類:陶器、磁器
産地:愛知県瀬戸市
歴史:平安時代〜
「日本六古窯」の一つで、陶磁器は総じて“せともの”と呼ばれるほど有名。志野、織部、瀬戸黒、黄瀬戸など旧来の陶器は「本業焼」、白い磁器に絵付けをした近年主流の瀬戸染付焼は「新製焼」と呼ばれる。

◆常滑焼(とこなめやき)

“常滑焼” 静岡のお茶屋 葉桐
分類:せっ器
産地:愛知県常滑市
歴史:平安時代〜
「日本六古窯」の中で最も古い歴史を持ち、大型の壺や甕を生産した。現在、洗面台や浴槽などの衛生陶器、タイルやテラコッタなどの建築陶器を製造。日用雑器で代表的な朱泥の急須は人気がある。

<近畿>

◆信楽焼(しがらきやき)

“信楽焼” 横川商店 蔵日記
分類:せっ器
産地:滋賀県甲賀市信楽町
歴史:平安時代〜
「日本六古窯」の一つで、明治時代から作られるようになったタヌキの置物が有名。細かい石粒を多く含む粗めの素地は、焼き上げると赤褐色になる。火色、焦げ、灰被りなど、焼き上げる際にできる模様が特徴。

◆萬古焼(ばんこやき)

“萬古焼” BANKO LIFE
分類:せっ器
産地:三重県四日市市
歴史:江戸時代中期〜
代表的な製品である土鍋は、国内生産の約八割を占める。耐熱性に優れているため、近年は土鍋のほかに陶板やタジン鍋なども生産している。鉄分を多く含んだ土を用いる紫泥の急須も人気。

<関西>

◆丹波立杭焼(たんばたちくいやき)

“丹波立杭焼” 丹波立杭焼 | PANAPANA
分類:陶器、せっ器
産地:兵庫県篠山市
歴史:平安時代〜
「日本六古窯」の一つで、茶褐色の素地にかかる自然釉を特徴とした“古丹波”が知られている。現在は、素朴な風合いの湯呑みや皿、鉢、徳利などの日用雑器を生産している。

<中国・四国>

◆備前焼(びぜんやき)

“備前焼” Japan Marketing Restaurant
分類:せっ器
産地:岡山県備前市
歴史:平安時代〜
「日本六古窯」の一つで、釉薬を一切使わない古くからの製法を続けている。藁を巻くことでできる緋襷、灰が降りかかってできた胡麻、大きな器の上に小さな器を乗せて焼くとできる牡丹餅などの模様が特徴。

◆萩焼(はぎやき)

“萩焼” しがトコ
分類:陶器
産地:山口県萩市
歴史:江戸時代初期〜
陶土が柔らかく吸水性が高いため、長年使用するうちに茶や酒が浸透して色彩が変化する“萩の七化け”が見られる。ビワ色や白色をした柔らかな焼き上がりで、装飾のない素朴なものが多い。

<九州・沖縄>

◆有田焼・伊万里焼(ありたやき・いまりやき)

“有田焼・伊万里焼” 佐賀県:伊万里・有田焼
分類:磁器
産地:佐賀県西松浦郡有田町、伊万里市
歴史:江戸時代初期〜
日本の磁器発祥の地と言われ、海外でも広く知られている。白い磁器に藍、赤、黄、金など鮮やかな色で絵付けを施す色絵磁器、青一色で描く染付がある。手触りはガラスのように滑らかで、薄くて軽いのが特徴。

◆唐津焼(からつやき)

“唐津焼” 佐賀県:唐津焼
分類:陶器
産地:佐賀県唐津市
歴史:室町時代〜
東は“せともの”、西は“からつもの”と言われるほど有名。粗い薄茶色の素地に、草花や動物、文様などをシンプルに描いた絵唐津が代表的。釉薬や製法は様々で、主に日用雑器を生産している。

◆壺屋焼(つぼややき)

“壺屋焼” ライオンポタリー
分類:陶器
産地:沖縄県那覇市
歴史:江戸時代初期〜
沖釉薬を使用しない荒焼と絵付けをする上焼がある。どっしりとした質感を特徴とし、魔除けとして屋根の上に置くシーサー、酒器のカラカラなどを生産している。また、沖縄では“やちむん”と呼ぶ。


※分類における「せっ器」とは、土器と陶器の中間的性質のもの。ちなみに、素焼きのやきものを土器、粘土を原料とし吸水性のあるものを陶器、素地が白く吸収性がないものを磁器と呼ぶ。陶器と磁器は釉薬を用いる。

この記事を書いた人

渡邊晃子 Akiko Watanabe |ライター

フリーのライター、インタビュアー、フォトグラファーとして活動。 主に芸能記事を手掛ける。現在は、自然豊かな熊本で子育て中。 国内外の古くて変わったモノが好き。

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