平家ゆかりの郷土玩具「きじ馬」と出会う旅〜熊本県人吉市〜
2017年6月26日|渡邊晃子
日本各地に数多くある郷土玩具。今回はその中で、熊本県人吉市の「きじ馬」を現地レポートを交えてご紹介します。
「きじ馬」は男の子へ、「花手箱」は女の子へのお土産に
荒削りの素朴な木地に、鮮やかな色彩を入れた「きじ馬」。熊本県人吉市で、古くから作られてきた郷土玩具です。その歴史は、壇の浦の戦いで敗れた平家一族の一部が、人吉の山間に落ちのびてきたことから始まります。彼らは、「きじ馬」や「花手箱」、「羽子板」などを作り、華やかな都に想いを馳せました。
桐で作った胴体に松の車輪を付けた「きじ馬」は男の子へ、真っ赤なツバキの絵が描かれた「花手箱」や「羽子板」は女の子へ。そんな習わしが、当時から現代まで続いています。
そこで、地元の人々に愛され続けている「きじ馬」を探求すべく、実際に人吉まで行ってきました。
球磨川では木船に乗って急流を下る川下りが楽しめる
胸川でアユ釣りをしている人
人吉に到着してまず出会うのが、雄大な流れを持つ球磨川(くまがわ)。日本三大急流の一つで、大きなアユが育つことで有名です。支流の胸川では、アユ釣りをしている釣り人を見かけました。
人吉城は別名、三日月城、繊月城とも呼ばれる
そして、球磨川と胸川を天然の堀にして築かれた、日本100名城の人吉城跡。ヨーロッパのはね出し工法を用いて作られた石垣「武者返し」があるのは、全国でも珍しいそう。
「SL人吉」の清掃などに使われている人吉機関車庫
JR人吉駅構内には、1911年の建設当時の姿に復元された石造りの人吉機関車庫があります。現役の石造り機関庫としては国内唯一だそうで、SLが入庫できるアーチ型の出入り口が並んでいます。
風雨にさらされていますが、圧巻の存在感!
「きじ馬」とツバキが描かれた西大塚トンネル
人吉市から鹿児島県に抜ける国道276号線は、「きじ馬街道」とも呼ばれています。その道路脇には、巨大な「きじ馬」のモニュメントがちらほら。西大塚トンネルにも「きじ馬」が描かれていました。
大人も子どもも乗って遊べる大きな「きじ馬」
次に、さまざまな工芸体験ができる「人吉クラフトパーク石野公園」に向かいました。まず目に入ったのが、人が乗れる大きな「きじ馬」! 本来の「きじ馬」は、男の子が乗って遊ぶ玩具だったそうです。
車輪を付けてもらうのを待っている「きじ馬」たち
「きじ馬」の絵付け体験ができるということで、工房をのぞいてみました。作業台には、絵付けが終って車輪を付けるだけの「きじ馬」がズラリ。彩色待ちの木地や刀で削ったばかりの木地もありました。
現在、人吉で「きじ馬」を製作しているのは、「住岡きじ馬製作所」と「宮原工芸」のみ。ここでは、「住岡きじ馬製作所」の住岡忠嘉さんが直接教えてくれます。
1.まず白地に塗られたきじ馬に、黄色で着色していきます。
2.次に、頭の部分やツバキの花を赤色で…
3.次に、背中と葉っぱを緑色で…
4.そして、黒色で目や耳を入れれば完成です!
「きじ馬」は、日本の国鳥でもあるキジを模しているそう。また、頭のてっぺんには、子どもの成長と幸運を祈って「大」の文字が描かれているのが特徴です(「大」の文字には諸説あります)。
ぽってりとしたフォルムの「うずら車」
丸っこくて愛らしい「うずら車」も見つけました。「きじ馬」と違って彩色はせず、あえて木肌を活かした造形は、素朴な温かさを持っています。
近所の小学生たちに可愛がられている「くまモン」
「きじ馬街道」の途中で寄った定食屋さんには、木で作られた「くまモン」も! 近所の方が作ってくれたそうで、この付近には個人で木工をやっている方も多いとか。片耳が取れちゃっていますが、なんとも言えない表情が可愛すぎます。
九州地方の「きじ馬」は、東北地方の「こけし」に匹敵すると言われている郷土玩具。最近では、「きじ馬」のキーホルダーやストラップなど、現代のニーズに合わせた商品も販売されるようになりました。いつまでも人々に愛され、素朴さに癒される郷土玩具でした。
荒削りの素朴な木地に、鮮やかな色彩を入れた「きじ馬」。熊本県人吉市で、古くから作られてきた郷土玩具です。その歴史は、壇の浦の戦いで敗れた平家一族の一部が、人吉の山間に落ちのびてきたことから始まります。彼らは、「きじ馬」や「花手箱」、「羽子板」などを作り、華やかな都に想いを馳せました。
桐で作った胴体に松の車輪を付けた「きじ馬」は男の子へ、真っ赤なツバキの絵が描かれた「花手箱」や「羽子板」は女の子へ。そんな習わしが、当時から現代まで続いています。
そこで、地元の人々に愛され続けている「きじ馬」を探求すべく、実際に人吉まで行ってきました。
人吉とはどんなところ?
球磨川では木船に乗って急流を下る川下りが楽しめる
胸川でアユ釣りをしている人
人吉に到着してまず出会うのが、雄大な流れを持つ球磨川(くまがわ)。日本三大急流の一つで、大きなアユが育つことで有名です。支流の胸川では、アユ釣りをしている釣り人を見かけました。
人吉城は別名、三日月城、繊月城とも呼ばれる
そして、球磨川と胸川を天然の堀にして築かれた、日本100名城の人吉城跡。ヨーロッパのはね出し工法を用いて作られた石垣「武者返し」があるのは、全国でも珍しいそう。
「SL人吉」の清掃などに使われている人吉機関車庫
JR人吉駅構内には、1911年の建設当時の姿に復元された石造りの人吉機関車庫があります。現役の石造り機関庫としては国内唯一だそうで、SLが入庫できるアーチ型の出入り口が並んでいます。
いざ、「きじ馬」を探しに!
風雨にさらされていますが、圧巻の存在感!
「きじ馬」とツバキが描かれた西大塚トンネル
人吉市から鹿児島県に抜ける国道276号線は、「きじ馬街道」とも呼ばれています。その道路脇には、巨大な「きじ馬」のモニュメントがちらほら。西大塚トンネルにも「きじ馬」が描かれていました。
大人も子どもも乗って遊べる大きな「きじ馬」
次に、さまざまな工芸体験ができる「人吉クラフトパーク石野公園」に向かいました。まず目に入ったのが、人が乗れる大きな「きじ馬」! 本来の「きじ馬」は、男の子が乗って遊ぶ玩具だったそうです。
「きじ馬」の絵付けを体験
車輪を付けてもらうのを待っている「きじ馬」たち
「きじ馬」の絵付け体験ができるということで、工房をのぞいてみました。作業台には、絵付けが終って車輪を付けるだけの「きじ馬」がズラリ。彩色待ちの木地や刀で削ったばかりの木地もありました。
現在、人吉で「きじ馬」を製作しているのは、「住岡きじ馬製作所」と「宮原工芸」のみ。ここでは、「住岡きじ馬製作所」の住岡忠嘉さんが直接教えてくれます。
1.まず白地に塗られたきじ馬に、黄色で着色していきます。
2.次に、頭の部分やツバキの花を赤色で…
3.次に、背中と葉っぱを緑色で…
4.そして、黒色で目や耳を入れれば完成です!
「きじ馬」は、日本の国鳥でもあるキジを模しているそう。また、頭のてっぺんには、子どもの成長と幸運を祈って「大」の文字が描かれているのが特徴です(「大」の文字には諸説あります)。
番外編! 「うずら車」や「くまモン」も発見
ぽってりとしたフォルムの「うずら車」
丸っこくて愛らしい「うずら車」も見つけました。「きじ馬」と違って彩色はせず、あえて木肌を活かした造形は、素朴な温かさを持っています。
近所の小学生たちに可愛がられている「くまモン」
「きじ馬街道」の途中で寄った定食屋さんには、木で作られた「くまモン」も! 近所の方が作ってくれたそうで、この付近には個人で木工をやっている方も多いとか。片耳が取れちゃっていますが、なんとも言えない表情が可愛すぎます。
九州地方の「きじ馬」は、東北地方の「こけし」に匹敵すると言われている郷土玩具。最近では、「きじ馬」のキーホルダーやストラップなど、現代のニーズに合わせた商品も販売されるようになりました。いつまでも人々に愛され、素朴さに癒される郷土玩具でした。
この記事を書いた人
渡邊晃子 Akiko Watanabe |ライター
フリーのライター、インタビュアー、フォトグラファーとして活動。 主に芸能記事を手掛ける。現在は、自然豊かな熊本で子育て中。 国内外の古くて変わったモノが好き。
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